はじめに
医師が起業したり、自分で副業を探すのはかなりしんどい
JobFare運営の代表医師です。
「医師の副業」「医師の起業」というワードが巷を賑わせて久しい昨今ですので、
今日はそのキーワードで、徒然なるままに文章を書いてみようと思います。
医師であるわたし自身が代表を務める法人ではこれまでたくさんの事業に挑戦してきました。
基本的には、アイデアがある状態で、自分で営業・自分で取ってきた仕事をこなす・自分で成果物を納品する、という元手の要らない自己完結型でビジネスをスタートさせてきており、頓挫したもの、現在まで続いているものを含めると10個以上はあると思います。
このような形式はスピード感には欠けるものの、大きく赤字を掘ったり、資金調達したり、ということに抵抗のある先生方にはお勧めできるのかなというビジネスのやり方だと思います。
上記のような「起業」に関するお話は「医師の副業」からはちょっと脱線しますが、
副業の究極系は、いわゆる下請けとしての「副業」を受注してマージンを抜かれるのではなく、上記のように自分で取ってきた仕事を自分でこなすことで時間当たりの報酬を最大化させたものになるかと思います。
(もちろん、自分で営業をして仕事を取ってくるにはそれ相応の時間と覚悟が必要ですので、エネルギー高めの先生向けです)
ただし、色々とこの記事を書いた後に感じた結論ですが、
こと資産形成という意味においては、ほとんどの先生にとっては、起業したり、自分で副業を組み立てるよりも、診療で稼ぐ+投資で資産形成の方が効率が良いので、そのために自分で事業を組み立てるのはあまりおススメ出来ないかもしれません。
何しろ、医師はもともと時間当たりの労働単価がバグってるくらい高いので、その方がパフォーマンスが高いことがほとんどで、
事業立ち上げを模索するよりも、好条件の非常勤を獲得したり、そもそも常勤先を変えることで待遇を上げる努力をする方がコスパが良いかもしれません。
また副業や在宅ワークを自分で獲得するよりも、それを紹介してくれる、サービスからお仕事紹介を受けるのがお手軽で吉です。
あ、弊社で展開している医師のお仕事紹介JobFareでは、先生方はただ条件を伝えてもらえれば、無料でコンサルタントが好条件のお仕事をお探しします。
副業や在宅ワーク案件も、時期的にお仕事があればご紹介可能です。
先生方は待遇を上げる労力をとることなく、弊社が丁寧にご対応いたしますので、是非ご登録ください笑
これまでやった営業活動を3つご紹介
さて当法人でこれまでチャレンジしてきたいくつかの事業についてですが、勿論うまく収益化できたもの/できなかったものがあります。
今日はそれぞれの事業について具体的にどのような営業を行い、どのような結果になったかご紹介しつつ、多くの先生にとって「え、結局コスパ悪くない?」と気付いてもらえれば幸いです笑
①書店や大学生協に飛び込み営業
個人的には「事業でお金をもらうのはこんなに大変なことなのか」と良くも悪くも思い知った、思い出深い事業です。
東京駅の丸善丸の内本店や、その他の医学書を取り扱う丸善店舗に1人で突撃したり、また関東の医学部の大学生協にはあらかた全部突撃しました。
事業の詳細としては、書店に置かれている(画像のような)手書き風POPを会社で大量に制作し、書店に売ろうというビジネスでした。
ぼくたち医師代表の会社で作るPOPだったので、対象は医学書のみでした。
そもそも、個人ブログ時代や、会社でも、医学書のレビューを大量に掲載するサイトを運営していたことから、
そのレビューをもとに、読者医師のリアルな声を反映したPOPを制作すれば書店の販促にうまく活かしてもらえるのでは、という着眼でした。
いきなり本屋に行って、店員さんに話しかけながら、少しでも決裁権のありそうな人を紹介してもらい、立ち話で提案を始めるのですが、
こういう際、医学書コーナーで「医師であること」を開示すると、大概の担当者はお話を聞いて下さったので、とてもありがたいと共に、ライセンスの強さを実感しました。
ただし結果としては、毎月1万円の売上が半年ほど立ったのみで、事業としては失敗だったと思います。
この事業について動いていたのがちょうど真夏の時期だったので、かなり暑かった思い出があります。
ちなみにこの時に行った一番遠い営業先は、筑波大学の生協さんでした。
夏の暑い中、何の成果もなくとぼとぼ自宅に帰っていくときは非常に情けなく辛い気持ちになった思い出があります。
そもそもこの事業は自分が本屋の店内をブラブラしている際にたまたま閃きました。
まあ閃いたといっても、上述のように医学書レビューサイトを運営していた経緯があったので、事業としてはそこから派生させた形になるかと思います。
確かに、事業をいくつか作っていく際に、全く新しい事業が立ち上がる可能性は低く、どこか既に行っている事業の派生であったり、仕事上で見聞きした話をもとに閃くということはよくあるのかな、と思います。
さて、自分が閃いたアイデアは、わが子のように「絶対優れているはず!」とばかり考えるので、それなりに時間をかけて営業をしましたが、結局契約をしてくれたのは母校の生協のみで、こちらも母校のよしみから毎月1万円の契約をしてくれただけ、という印象です。
構想段階では、全国の大学生協を行脚して制覇してやる!などと夢を膨らませていましたが、結局はあまりにも売上が小さすぎて事業を頓挫させました。
②最大手の医学出版社で取締役数名に囲まれる
こちらは現在に至るまで大きな事業として継続している、いわば成功例かと思います。
共同経営者がたあたま医学出版関連の仕事に明るかったことから、「医学に関する出版社の便利屋さんになろう」というアイデアから営業を開始しました。
メールで「こんなことが出来る医師です。直接お話しする機会をください」と医学出版社に向けてダメもとで送っていたら、最大手の出版社が本当に会ってくれました。
本社にお邪魔するとその場で取締役含め10人くらいに囲まれながら、震える声でプレゼンをしたのは良い思い出です。
結果としては、とても自分では捌き切れない量の仕事を定期的に受注するに至り、こちらを周囲の先生方に「副業」として依頼させていただいております。
事業の詳細としては、秘密保持の関係でお伝えできるのは概要のみですが、出版社から執筆/監修/コンテンツ制作/コンサルティングなどの依頼を受けて、それをその時然るべき診療科の先生に依頼しながら、成果物を弊社でまとめて、出版社に納品をしています。
もちろん、お手軽にこういったお仕事を受けていく副業という形も多分に「アリ」だと思います
(むしろ本業が多忙な先生方にとっては、こちらが大多数になるかとは思います)
しかし、上述のように時間当たりの報酬を最大化させる副業とは、自分で取ってきた仕事を自分でこなすこと、になるため、
是非「突撃営業からの自分でこなして自分で納品」を実現して、エネルギー高めの先生には甘い蜜を吸って欲しいなと思います。
③化粧品会社に突撃営業でアイデンティティクライシス
こちらはかなりの時間を割いて動きましたが、1円の売上すら上げられなかった事例です。
こちらも小児科の共同経営者からのアイデアで、「子供が37.5℃以上になった瞬間に親が保育園に迎えに行かなければいけない」世の中は不便すぎる!という着眼から、
企業内に病児保育室を設置することで、①親は仕事を休まなくて済むようになり②会社は社員が休む損失を被らなくて済む ようにしようという事業でした。
(病児保育はクリニックが運営するものが少数ながらあるのですが、圧倒的に数が足りていなかったり、使い勝手がよくなかったりという問題が当時ありました)
実現すれば、四方よし(親よし、企業よし、日本社会よし、弊社よし)の肝いり事業だったのですが、
われわれが未熟だったこともあり、具体的な事業化の一歩をなにもつかめないまま頓挫させた事業です。
具体的に営業に用いた手段としては、女性の社員比率が高い企業や、子育てに力を入れている企業で、ある程度の規模を持った企業を対象にメールまたはお問合せフォーム営業を開始しました。
子育てに力を入れている企業を探すのには、厚労省が推進している「くるみん」「プラチナくるみん」という認定事業が参考になりました。
社員の子育てに関して一定の基準を満たした基準が、認定を受けられる制度で、
非常にかわいいくるみんのイラストなはずなのに、当時はイラストを見過ぎて、もう見るのも嫌になっていた思い出があります。
さて、メールやフォーム営業から、いくつかの起業にご訪問させていただいたのですが、中でも印象的だったのは、都内一等地に本社を構える大手化粧品会社でした。
当時の私は、スーツの着こなしも曖昧で、まだ事業活動で1円すらも稼いでおらず、なおかつ社会経験の乏しい、医学部が再受験だったので謎に既に33歳くらいになっていて、病院を退職して身元不明になった医者っぽい人物、でしかありませんでした。
医者というのは、医療機関に勤めている限りは、「先生」というアイデンティティと一定のリスペクト的視線に守られて、精神的にも不安になることは少ないと思うのですが、
いざ医療機関を退職して、いわゆる「先生」としての仕事がなくなると、急激に「おれっていったい何者なんだろう」「おれって何もできないただの人」などの感覚に襲われて、気持ち的にはかなりくるものがありました。
さて、当時化粧品会社に訪問した際にも、なんとか型どおりのプレゼンはしたのですが、好意的だったり具体的なアクションに繋がりそうだったりという反応は得られず、しかも、相手はキラキラした業界の、いかにもデキる人といった感じ。
一方私は「おれって何もできないただの人」状態であり、しかも異業種のバリバリ系お勤め人と接することで、「ただの人」的感覚がコントラストから余計に色濃くなってしまい、私のアイデンティティは、ほぼクライシスしかけました。そんな非常に辛く情けない思いで帰路についた思い出があります。
これまで病院の恵まれた環境で働いてきた医師からすると、資本社会の荒波の中で営業活動をすることは、心理的にかなり辛いことだと思います。
同時に、世の中の「営業職」のビジネスマン/ビジネスウーマンの人たちみんなバケモンやん・・・という気持ちが芽生えます。
医師は本当に守られた職業だなあ・・・と思うと同時にビジネスパーソン、まじでリスペクトです・・・
結果としては病児保育事業としては、上述のような営業活動や、そもそも病児保育を実施しているクリニック様、保育園様などにヒアリングの時間を頂戴したりなど、時間をかけて動いてみたのですが、われわれが未熟だったこともあり、具体的な事業化の一歩をなにもつかめないまま頓挫させました。
さいごに
長々と自分の思い出を振り返りながら書いてきましたが、最終的に思ったことは
「結構つらい思い出多いな笑」でした。
考えてみると、医療機関で働く医師のお仕事は、自分がとったアクションに対して、ほとんどの場合何かしらの反応(患者さんの状態が良くなる/悪くなる、指示に対して看護師さんが動いてくれる等)があり、
仕事をしていて虚無感を抱くタイミングがかなり少ない仕事なのかなと思いました。
しかしながら、資本主義ビジネス社会は違います。
特に営業行為なんて、かなり高い確率で、自分のとったアクションは無効化されるのではないでしょうか。
また数%の確率で面談のアポが取れたとしても、会ったタイミングで、特に何も響いていないのが明らかな顔とかもされます。
逆に、医師の仕事は自分の言ったことが無視されることは、良くも悪くもほとんど皆無で、
また自分の話している内容が、興味を持たれず聞いてもらえないことも皆無です。
こういった背景から、医師が急に資本主義に飛び出して営業活動を始めるのが至難の業であり、すごくつらい活動になるんだと思います。
今までつらい扱いをされたことのなかった人が急にそういった扱いを受けるので、単純に気持ちが辛くなるんだと思います。笑
最後の最後です。
ここまでほとんど、辛い・・つらい・・・の話に始終してしまいましたが、もちろん辛いだけであれば活動を停止しているわけで、
続けているのは、辛い < 精神的+金銭的メリット の状態を保てていた/保てているからに他なりません。
つまり、私が事業活動を続けているのは、新しい事業の仕組みや収益構造を1から作っている瞬間がとても好きだったり、その仕組みが1円でもお金を稼ぎ始めたときの喜びが強かったり、
これまでの辛い思い出を忘れさせるくらいの精神的インセンティブを感じ取っているからです
それにもちろん、弊社のようなコツコツ事業を育てるやり方の場合、瞬間的な利益爆発はしないものの、長期的な視点でみれば金銭的なインセンティブも強力になっていきますし、それを目的としている部分も勿論あります。
これまで書いてきたように、営業で辛い思いをしたり、数十時間動いても1円にもならない時間を過ごす覚悟があるような先生方は、是非、ご自身で獲得する副業なり、起業なりに挑戦して欲しいなと思いますし、応援したいなとも思います。
そうではなく、短期的に診療行為による報酬で原資を増やし、さらに投資も絡めて資産形成を加速させていくタイプの考えがおありの先生には、起業/副業の究極系はあまりメリットが大きくないかもしれません。
(↑このようなスタイルも、わたしとしては普通に好きですし、ある種のあこがれもあります)
繰り返しにはなりますが、
こと資産形成という意味においては、ほとんどの先生にとっては、起業したり、自分で副業を組み立てるよりも、診療で稼ぐ+投資で資産形成の方が効率が良いので、そのために自分で事業を組み立てるのはあまりおススメ出来ないかもしれません。
何しろ、医師はもともと時間当たりの労働単価がバグってるくらい高いので、その方がパフォーマンスが高いことがほとんどで、
副業を模索するよりも、好条件の非常勤を獲得したり、そもそも常勤先を変えることで待遇を上げる努力をする方がコスパが良いかもしれません。
また副業や在宅ワークを自分で獲得するよりも、それを紹介してくれる、サービスからお仕事紹介を受けるのがお手軽で吉です。
あ、弊社で展開している医師のお仕事紹介JobFareでは、先生方はただ条件を伝えてもらえれば、無料でコンサルタントが好条件のお仕事をお探しします。
副業や在宅ワーク案件も、時期的にお仕事があればご紹介可能です。
先生方は待遇を上げる労力をとることなく、弊社が丁寧にご対応いたしますので、是非ご登録ください笑
Comments